AWS GPU料金 vs Glows.ai:同じAIジョブで請求額は2〜3倍差
AWS GPU料金 vs Glows.ai:同じAIジョブで請求額は2〜3倍差
まず結論から。2026年7月の公開料金でAWS GPU料金とGlows.aiを比べると、同じNVIDIA L40SがAWSでは時間あたり1.861ドル(g6e.xlarge、us-east-1オンデマンド、1ドル150円換算で約280円)、Glows.aiでは0.83ドル(約125円)——同一チップで2.2倍の差です。A100クラスでは差は3.4倍に広がり、しかもAWS側はVRAMが半分。20 GPU時間のファインチューニングジョブで試算すると、ストレージ込みのAWSの請求は約53ドル(約8,000円)、Glows.aiは**16.60ドル(約2,500円)**です。
本記事の数字はすべて公開価格表から取り、出典と日付を付けています。秘密のベンチマークは走らせていません——同じジョブを2枚の料金表に当てはめただけなので、どの行の計算も自分で検算できます。
試算方法:公開料金表であって、ラボの実測ではない
「同じAIジョブを両方のクラウドで走らせた」という見出しの裏には、検証不能なベンチマークが隠れていることが多い。だから最初に方法をはっきりさせておきます。
具体的なジョブを1つ定義しました。NVIDIA L40Sで20 GPU時間——8BクラスモデルのQLoRAファインチューニングと評価にかかる現実的な時間で、しかも線形にスケールできます(10時間のジョブなら全部の数字を半分に)。両社ともL40Sを提供しますが、AWSはg6e.xlargeで44 GiBの公開GPUメモリを示し、Glows.aiは48 GBとして表示します。同じハードウェアを異なる単位で表しているため、性能比較にする前に完全な構成を確認してください。
両者のGPUが異なる場合(AWSはRTX 4090のようなコンシューマーカードを貸していません)はその旨を明記し、公開スペック表のみを引用します。速度テストのでっち上げはしません。
2026年7月のAWS GPUインスタンス料金
AWSはGPUをインスタンス名の裏に隠しているので、まず解読表とus-east-1の現行オンデマンド料金です。
| AWSインスタンス | 搭載GPU | VRAM | オンデマンド $/時 | $/GPU時 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
g6.xlarge | 1× NVIDIA L4 | 公開メモリ22 GiB | $0.805 | $0.805 | AWSインスタンス仕様、2026年7月 |
g5.xlarge | 1× NVIDIA A10G | 24GB | $1.006 | $1.006 | AWS G5公式ページ、2026年7月 |
g6e.xlarge | 1× NVIDIA L40S | 公開メモリ44 GiB | $1.861 | $1.861 | AWSインスタンス仕様、2026年7月 |
p4d.24xlarge | 8× NVIDIA A100 | 各40GB | $32.77 | $4.10 | Vantage料金トラッカー、2026年7月 |
p5.48xlarge | 8× NVIDIA H100 | 各80GB | 約$55 | 約$6.88 | IntuitionLabsプロバイダー調査、2026年4月 |
表を読む前に2点だけ。
- **Pシリーズは8基セットでしか借りられません。**EC2でH100やA100を1基だけオンデマンドで借りることはできず、最小単位は8 GPUのフルマシン(時間あたり32〜55ドル超)です。
- **料金は下がるどころか上がっています。**AWSは2026年7月1日にEC2 GPU Capacity Blockの料金を約20%値上げしました。半年で2度目で、年初にはすでに15%上げています(Investing.com、2026年7月)。値上げ後、米国リージョンのP5 H100の予約単価は1基あたり時間5.191ドルです。
同じジョブを両方で計算する
Glows.aiの料金は定額の時間単価で、秒単位課金です(glows.ai、2026年7月)。RTX 4090 24GBが時間0.49ドル(約74円)、L40S 48GBが0.83ドル、A100 SXM4 80GBが1.20ドル、H100 80GBが2.96ドル(約444円)。
GPU 1時間あたりに正規化したクラウドGPU料金比較がこちらです。
| GPUクラス | AWSの選択肢 | AWS $/GPU時 | Glows.aiの選択肢 | Glows.ai $/時 | AWSは |
|---|---|---|---|---|---|
| 約24GB・エントリー | g6.xlarge(L4、公開メモリ22 GiB) | $0.805 | RTX 4090(24 GB) | $0.49 | 1.6倍 |
| 24GB・ミドル | g5.xlarge(A10G) | $1.006 | RTX 4090 | $0.49 | 2.1倍 |
| L40S——同一GPU | g6e.xlarge(公開メモリ44 GiB) | $1.861 | L40S(48 GB表示) | $0.83 | 2.2倍 |
| A100クラス | p4d(A100 40GB) | $4.10 | A100 SXM4 80GB | $1.20 | 3.4倍 |
| H100 80GB | p5(H100) | 約$6.88 | H100 | $2.96 | 2.3倍 |
約24GBの行には注意が必要です。g6.xlargeは公開メモリが22 GiBで、RTX 4090の表示は24 GBのため、厳密なメモリ一致ではありません。g5.xlargeのA10GはFP32で31.2 TFLOPS、メモリ帯域600 GB/s、RTX 4090は82.6 TFLOPS、1,008 GB/sです(NVIDIA公開スペック)。これらは作業適合性の目安であり、全てのジョブの完了速度を保証する比較ではありません。
試算1:20時間のL40Sファインチューニング
| 項目 | AWS(g6e.xlarge) | Glows.ai(L40S) |
|---|---|---|
| 計算、20 GPU時間 | 20 × $1.861 = $37.22 | 20 × $0.83 = $16.60 |
| ストレージ:200GB gp3 EBS、1か月 | 200 × $0.08 = $16.00 | —(Datadriveが停止中もファイルを保持) |
| 外向きデータ転送 | $0(月100GBの無料枠内) | $0 |
| ジョブ合計 | $53.22(約8,000円) | $16.60(約2,500円) |
同じGPU、同じ20時間で、ストレージ込み3.2倍、計算だけでも2.2倍。ストレージの注意点:EBSボリュームは使っていなくても課金され続け、モデルの重みは1つ15〜40GBあるので200GBは決して余裕ではありません。Glows.aiではDatadriveがインスタンス停止中もモデルファイルを預かります。
試算2:72時間のH100学習
H100 1基で3日間の学習を回すと、AWSはGPU時あたり約6.88ドルで495.36ドル(約74,000円)——しかもオンデマンドでは実際には8 GPUのp5.48xlargeを丸ごと借りることになり、72時間で約3,960ドルです。遊んでいる7基が稼いでくれない限り。Glows.aiなら本当に必要な1基が2.96ドル/時で213.12ドル(約32,000円)。1回の実行で282ドルの差——見出しの「気まずい」部分はここですが、中身はただの料金表の四則演算です。
AWSの料金表に載っていない行
公平を期すために先に言うと、EC2のLinuxインスタンスは**秒単位課金(最低60秒)**なので、課金の粒度はAWSの弱点ではありません。問題は単価そのもの。その上で注意すべき項目がこちら。
- **EBSストレージは眠らない。**gp3ボリュームはインスタンスが止まっていても月額GBあたり0.08ドル(AWS EBS料金)。ボリュームを消せば節約できますが、次回はモデルの再ダウンロードからやり直しです。
- **無料枠を超えた外向き転送。**AWSからのデータ持ち出しは月100GBを超えるとGBあたり0.09ドル(AWSデータ転送料金)。40GBのチェックポイントを月2回手元に落とすだけで請求に表れます。
- **最初のGPUの前にクォータ申請。**新規AWSアカウントのGファミリー・PファミリーのvCPUクォータはデフォルト0。Service Quotasで引き上げを申請し、承認を待つ必要があります(AWS Service Quotasドキュメント)。見積もりは「数分」ではなく「数時間〜数日」で。
- **スタックは自分で組む。**Deep Learning AMIは助けになりますが、ワンクリックのComfyUIやOllamaイメージはありません。ドライバー、CUDA、フレームワークのセットアップ時間は自分持ちで、その間もメーターは回ります。
それでもAWSが正解になるケース
「AWSに勝ち目なし」と装う比較記事には説得力がないので、正直にもう一方の側も並べます。
- **コンプライアンスと監査。**HIPAA対応サービス、FedRAMP、PCI DSS、SOC 1/2/3——認証済みインフラと正式な契約が必要なワークロードなら、ハイパースケーラーのプレミアムは監査を通すためのコストです。
- **スポットインスタンス。**AWSは中断可能な容量をオンデマンド比で最大90%引きと謳っています。チェックポイントを丁寧に保存でき、途中終了に耐えるジョブなら、
g6e.xlargeのスポット価格はほぼ無敵です。 - **データの引力。**学習データがすでにS3にあるなら、GBあたり0.09ドルで数TBを持ち出すより、計算をデータの隣に持っていくほうが安いことが多い。
- **エンタープライズ規模。**Savings Plans、リザーブドインスタンス、EFAネットワーク付きCapacity Blockは、数か月単位で回すマルチノードクラスター向け——「GPUを1基、今夜だけ借りる」とは別の競技です。
- **マネージドなツールチェーン。**SageMaker、Bedrock、IAM/VPCの仕組みは、40人のチームがモデルを本番投入するときに効いてきます。
チームにコンプライアンス担当がいるならAWSを真剣に検討してください。1人でファインチューニングジョブを抱えているなら、このまま読み進めてください。
今夜モデルを動かしたい人にとっての意味
個人開発者にとって、ここまでの表の結論は一貫しています。**専業プラットフォームはGPU時あたり1.6〜3.4倍安く、クォータの行列と環境構築もスキップできる。**Glows.aiではDeepSeek、Ollama、ComfyUIなどの設定済みイメージを選ぶだけで、インスタンスは30〜60秒で起動し、課金は秒単位です。同じ公開料金ベースの試算は自作PC vs クラウドGPUのコスト比較や約2ドルで画像1,000枚をバッチ生成する計算でもやりましたが、個人ワークロードでは計算は毎回同じ方向を指します。毎月AI動画のサブスクに払っているなら、その比較記事も5分の価値があります。
よくある質問
AWSのGPUインスタンスは1時間いくら?
2026年7月時点で、AWSの最安GPUインスタンスはg6.xlarge(NVIDIA L4、公開GPUメモリ22 GiB)でus-east-1オンデマンド約0.80ドル/時。24GBのA10G(g5.xlarge)は1.006ドル、L40Sのg6e.xlargeは公開メモリ44 GiBで1.861ドルです。H100は1基あたり換算で約6.88ドルで、8基セット(約55ドル/時)で提供されます。
なぜAWSのGPU料金は専業GPUクラウドの2〜3倍なのか?
支払っているのは周辺プラットフォームの分です。コンプライアンス認証、IAMとVPCの統合、S3との近接、エンタープライズサポート。2026年の業界調査では、同等ハードウェアでハイパースケーラーのGPU単価は専業プロバイダーの2〜3倍という結果が一貫して出ています(IntuitionLabs、2026年4月)。しかしその上乗せ分は、1人のファインチューニングジョブには何の役にも立ちません。
AWSのほうが安くなるケースは?
3つあります。スポットインスタンス(最大90%引き、中断に耐えるジョブ限定)、データがすでにS3にあるワークロード(持ち出し料金が計算の節約分を食い潰し得る)、そしてSavings PlansやCapacity Blockで長期契約するエンタープライズクラスターです。
AWSでRTX 4090は借りられる?
借りられません。AWSが提供するのはデータセンター向けGPUのみ(L4、A10G、L40S、A100、H100など)。RTX 4090のようなコンシューマーカード——公開スペックでFP32 82.6 TFLOPSと、同価格帯A10Gの31.2 TFLOPSを大きく上回ります——は専業レンタルプラットフォームにしかなく、Glows.aiでは2026年7月時点で時間0.49ドル(約74円)です。
自分の手で検算してみる
公開料金の計算のいいところは、私たちを信じる必要がないことです。AWSの料金表とGlows.aiの料金ページを並べて開き、自分のジョブで計算してみてください。結果が私たちと同じ側に落ちたら、Glows.aiのアカウントを作成してインスタンス作成ガイドどおりに1台立ち上げ、最初の20 GPU時間を表の安いほうの列に載せましょう。L40Sは時間0.83ドル——この実験のコストは、AWSのクォータ承認を待つ時間より安く済みます。